2~3年前のことです。
あるお客様が、弊社に来て頂きました。
しかも、かなりニコニコです。
「何かいいことあったんですか?」
私もちょっと笑顔になりながら、尋ねました。
「はい!土地を決めたんで、後藤さんに建ててもらおうと思って!」
「ありがとうございます。」
と、喜んではいたものの、なぜか気持ちよくない思いがしました。
『私に建ててくださいと言いながら、なんで土地の相談なく土地を買ったんだろう?』
というちょっと、晴れない思いをいだいていました。
「決めたんでって、契約しちゃったんですか?」
「はい!契約して、代金も決済しました」
『!!!!』
なんか嫌な予感がしました。
「じゃあ、敷地図とか見せて頂いてもいいですか?」
敷地図を開いて頂いて、
「へー、いい感じですね。で、いくらでしたか?」
「1200万円です」
「総額ですか、諸費用は別ですか?」
「別で。仲介が42万円、登記が15万円、水道の工事負担金が60万円で117万円かかります」
「全部で、1317万円です。」
「そうですかあ。で、事前審査っていくらでしたっけ?」
「3000万円です」
「そうですか。」
私は、頭の中で必要な予算組をはじいていたのですが、絶望的であることに変わりなく。
「別途費用に300万円かかりますね。あと、住宅ローンの諸費用に200万円くらいは見て頂かなくてはなりません。そして、消費税ですね。
あと、何坪くらいの家がお好みでしたか。」
「35坪くらいです」
3000万円-1317万円-300万円-200万円=1183万円!
これで、35坪の家は、建ちません。ローコストでも無理です。
内心『決める前に相談してくださいよ」と思っていました。
そして、手持ち資金がなく、事前結果が限度額であった場合、もう手の施しようがありません。
やむなく、大きさを小さくしていただくことを進めるしかありません。
住宅の資金計画は、建築費(諸費用を含めた)、土地費用(諸費用を含めた)、住宅ローン諸費用のバランスです。
必ずしも希望通りに行かないこともありますので、これをバランスを取りながら動かしていくことが、大切です。
ですが、こういう方は、後を絶ちません。それは、先に土地を決めに行くと、不動産屋さんの資金計画に載ることになります。
不動産屋さんは自分の土地を高く売りたいのでどうしても住宅価格を低く計算してしまいます。
それを信じてしまうと、こういうことが起こります。
なので、住宅と土地を並行して考えることがとても重要なのです。
いかに、いいパートナーと一緒に家づくりをするかが間違いのない家づくりには大切になります。