打ち合わせや見学会の時などにいろいろな質問を頂きます。
お金のこと、デザインのこと、仕様のことなどなど。
なんでも答えます。
たまに、ズコッとツボな質問が来ることがあります。
今の家には、大黒柱はないんですか?
今の家は、昔の家より弱いんですか?
木造は、地震に弱いんですか?
私は、20年以上も大工をやっていたのです。
このような質問は、私の大工魂を揺さぶります。
逆になんで大黒柱が必要なんですか。
そもそも大黒柱がある家にあなたは住んでいたのですか。
昔日本人の90%は農家で、そのほとんどは小作人でした。
農地も家も地主がもっていて借りていたのです。
そして、農地解放により自分の土地、自分の家を持てるようになりました。
元来、家は、日本人にとっては、一部の人以外望んでも持てないものでした。
しかし、それが持てるようになりました。
そして、一般の人にとっては、家はステイタスになったのです。
そして、城郭づくりや数寄屋造りなど、高尚でお金のかかる建て方が人気になり、それを競うようになりました。
「うちは、尺角のケヤキの大黒だ。1本200万だ」というようにお金のかかる材料を使うことが、ステイタスになっていきました。
また、製材の技術や金物もいいものがなかったため木加工のテクニックのみで接続部の強度を取らなくてはならなかったため大きな材料を必要としました。
木と木の接合するには、木に穴をあけたり彫らなければなりません。そのため接合部分が著しく弱くなってしまうのです。おのずと大きな材料が求められたのです。
また、このころの住宅技術では、ほとんど筋交いが入っていません。なので大きな材料で強度を取るしかなかったのです。
しかし、今は、筋交いやパネルもあります。いい金物もあります。製材技術もミリ単位まで加工できるのです。住宅もコンピューターで強度を計算できるようになりました。
また、一般の方々に普及するためには、価格を安くすることも必要になりました。
人の考えも変わりました。家は、見栄で立てるものという考えがなくなり、実用性を求めるようになったのです。
また、大きな材料は、それ自体が高額なだけでなく、加工にもお金がかかります。
例えば、ふつうの105□の柱なら職人一人で持つことができます。しかし、尺角の6mの通し柱は、3人でも持てないでしょう。
運ぶだけでも大変なわけです。
そういった様々なことが、あるのです。
2個目の質問であれば、
新しいものが古いものより悪いということは、ありませんし、それは、進化への冒涜です。
そして、年を取った人の郷愁でもあるのでしょう。
家の建て方はずっと進化してきました。
製材の技術、プレカットと呼ばれる材料を加工する技術、エンジニアリングウッドと呼ばれる材料の合成の技術、住設システムを利用。そういった様々な進化が現代の住宅を高耐久、高耐震化させてきました。
昔の家の方が強いというのは、大断面の木が使ってあるということであり、木が太いため木が弱りにくいということであり、家自体が強いわけではありません。構造計算をして、筋交いや金物を使った現在の家の方が耐震力という点からすれば強いわけです。
また、耐久性におおいても現在は、木が腐る作りにはなっていません。以前は、お風呂やトイレは、タイルとコンクリートで固めていたために、土台や柱の根元は土と接触していましたそのため腐りやすい構造になっていて家がもたなかったわけです。
現代の家は、べた基礎で基礎の高さが40センチと高く床下は、乾燥しておりトイレも洋式、お風呂もシステムバスで床下も湿気るところがありません。
あらゆる面において、現代の建て方の方がもちが良いでしょう。
大きな木がつかってあるから家が強いというのは、素人の思い込みの域を出ません。
3個めなら
鉄骨や鉄筋コンクリートが強くて、木造が弱いわけではありません。
実際に大地震で倒れないといわれていた鉄筋コンクリートの高速の高架橋が根元から折れたのを見たでしょう。
地震は、ガルといって加速度で揺れの強さを示されます。
加速度は、重量の2乗に比例します。
例えば、大きさが同じで重量が大きいなら重い方に力がかかるということす。
たとえば、大きさが同じ鉄筋コンクリートの柱と木の柱があるとします。10KGの鉄筋コンクリートなら、10の2乗、100KGの力が加わり、木が1KGなら1の2乗1KGで済むということです。
だから、重い分、力も相当にかかり、壊れやすくなるということです。
などと、延々とおもいっきりしゃべってしまいます。
ジャストミート!